大高博幸さんの 肌・心 塾
2018.5.15

『 ダリダ 』『 ルイ 14 世の死 』『 ファントム・スレッド 』『 ミッドナイト・サン 』 試写室便り 【 大高博幸さんの 肌・心塾 Vol.447 】

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© 2017 BETHSABEE MUCHO-PATHE PRODUCTION-TF1 FILMS PRODUCTION-JOUROR CINEMA

歌だけが わたしを輝かせる。
アラン・ドロンとのデュエット曲などで
一世を風靡したフランスの歌姫――。
愛に向かって生きた
ひとりの女性の物語。

ダリダ
あまい囁き
フランス/ 127 分
5.19 公開/配給:KADOKAWA

【 STORY 】 フランスの国民的スターであり、日本でも多くのファンを獲得した 歌姫 ダリダ。生まれ故郷のエジプトで ミス・エジプトの栄冠を手にしたほどの圧倒的な美貌と、聴く者の心に直接語りかけるような歌声が愛され、デビュー以来 30 年、休むことなく第一線を走り、きらびやかなステージに立ち続けた。ところが、富と名声を手にし、幸福に包まれていたはずの彼女が、1987 年に 54 歳で 自ら 命を絶つ。いったい その人生に何があったのか? ファッションから生き方まで、フランス女性たちの憧れの的だったダリダのすべてが 今、明かされる。( プレス資料より。一部省略 )

日本では、A・ドロンとデュエットした世界的大ヒット曲『 あまい囁き 』( ’73 ) の「 パローレ、パローレ、パローレ 」というフレーズが 余りにも有名なスター歌手、ダリダ ( ’33 – ’87 ) 。僕は、自慢するつもりなど全くありませんが、デビュー間もない頃から、彼女の まろやかでいて 煌めくように響く歌声に魅了されてきたファンのひとり。しかし、その歌声の内に秘められていた悲哀など、何ひとつ 知りませんでした。

戦争が影を落とす少女時代。優しかった父の苦悩と早過ぎた死…。それらのトラウマと無関係とは思えない 数々の虚しく終った恋…。天は 彼女に二物 ( 美しい容姿と魅惑の歌声 ) を与えた代わりに、一女性としての幸福を奪ったのでしょうか? でも でも、愛のない人生、どう思う?

主役に抜擢されたのは、イタリアの一流モデル出身、スヴェヴァ・アルヴィティ。これが映画初主演とは信じ難い入魂の演技で、ダリダのキャラクターとキャリアを体現。特に絶望的な状況の中、溢れる涙を力に変えて 毅然と舞台に立つ姿には、誰もが圧倒されるコト 確実です。僕は 親しい友の姿を 舞台の袖から見守るような、熱い感慨を覚えました。

「 うまく いかない恋に、いつも悩んでいる 」という皆さん ( ? ) にとって、これは必見の作品。たゞし「 ちょっと弱い… 」と感じたのは 男優陣。いくらダメンズにしても、「 ダリダが惚れて当然 」と納得させるだけの魅力が、もっと欲しかったです。

P.S. オリジナル・サウンドトラックの 2 枚組 CD が、ユニバーサル ミュージックから発売に。ダリダの代表曲を中心に、全 51 曲が収録されているそう。これは入手せずにはいられません。

 

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©CAPRICCI FILMS,ROSA FILMES,ANDERCRAUN FILMS,BOBI LUX 2016

かのヴェルサイユ宮殿を建造し、
〝 太陽王 〟と呼ばれた ルイ 14 世。
その死の床の数週間。

ルイ 14 世の死
フランス、ポルトガル、スペイン/ 115 分
5.26 公開/配給:ムヴィオラ

【 STORY 】 ルイ 14 世の苦しみは 1715 年 8 月 9 日に始まり、9 月 1 日に終わった。その死は、72 年に及ぶ、フランスの歴史において 最も長い治世の終わりを意味した。記録には、ルイ 14 世の健康は不安定で 何度も死にかけた事があると残っている。そして その体には、心不整脈から引き起こされた 左脚の塞栓症によって、壊疽が はじまろうとしていた。( プレス資料より。一部省略 )

ルイ 14 世 ( 1638 – 1715 ) の最期の数週間に焦点を当てた、唖然とさせられるほど風変わりな作品。王宮モノのスペクタキュラーな要素を期待して観に行くと、ガッカリさせられるコト 必至です。
なにしろ、宮殿の外景も美しい庭も、国王の寝室に続く廊下のシーンさえも 全く映し出されないのです。別所に出掛けていたマントノン夫人が「 大至急、宮殿に戻られたし 」との連絡を受けるシーンも、いっさい映し出されません。冒頭に 森の中 ( ? ) を移動している国王と従者たちのシーンが 確か 一場面あっただけで、全てが 国王の寝室内で展開するのです。

にも拘らず、最後まで飽きずに観続けたのは何故なのか…。おそらく、日本初登場の監督 アルベルト・セラの徹底した演出振りと、本物に見える国王の寝室空間の見事さ、そして ルイ 14 世でも こんな風に逝くのかという、妙な興味のためだった という気がしています。
ひとつ、ちょっとしたコトながら 非常に驚かされたのは、水を欲した国王が ベッドの中から「 誰か おらぬか! 」と叫んでいるのに、誰も姿を見せないというワンシーン。こんな非常時に、従者が 近くに ひとりもいないなんてコトが あったとは…。

ルイ 14 世役は ジャン = ピエール・レオ。プードルそっくりの誇張されたカツラには 最初 異和感を覚えましたが、すぐに見慣れてしまいました。
脇役で特に印象的だったのは、マントノン夫人役の イレーヌ・シルヴァーニ。ファッション誌「 マドモアゼル 」で仕事を始め、「 エル 」の編集長や「 ヴォーグ・ヨーロッパ版 」のディレクター等を務めたキャリアの持ち主。深いシワさえも高貴に感じられる美しさ・存在感が 素晴らしかったです。

 

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オートクチュールのドレスが導く、
禁断の愛。
アカデミー賞®衣裳デザイン賞 受賞作!

ファントム・スレッド
アメリカ/ 130 分
5.26 公開/配給:ビターズ・エンド/パルコ

【 STORY 】 1950 年代、ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋 レイノルズ。ある日、レイノルズは ウェイトレスのアルマと出会い、彼女を新たなミューズとして迎え入れる。彼は アルマの〝 完璧な身体 〟を愛し、彼女をモデルに 取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、自分の気持ちを無視して 無神経な態度を繰り返す レイノルズに 不満を募らせたアルマは、ある日 朝食に 微量の毒を混ぜ込む――。 ( チラシより。一部省略 )

本年度アカデミー賞®6 部門にノミネートされ、衣裳デザイン賞を獲得した作品です。題名の『 ファントム・スレッド 』とは、王族や貴族の衣装を作るロンドンのお針子たちが、仕事場の外でも〝 見えない糸 〟を紡いでいたという逸話から採られているとのコト。
監督は『 マグノリア 』『 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 』『 ザ・マスター 』『 インヒアレント・ヴァイス 』の鬼才 ポール・トーマス・アンダーソン。主演は、アカデミー賞®主演男優賞に三度輝き、本作で俳優業引退を表明している ダニエル・デイ=ルイス。

本作で僕が最も興味を感じたのは、デイ=ルイス演ずるレイノルズの、いかにも一流ドレスメーカーらしい言動。非常に神経質でいて 他者には無神経、気難しくて我がまゝな性格が、僕の知っているファッションデザイナーの何人かに そっくりだったコトです ( 全てのファッションデザイナーが 気難しくて我がまゝという意味では ありません ) 。レイノルズは 毎朝、グルーミングの仕上げに、パフで顔を押さえるという習慣が身についてもいる男性…。そんな彼を 100 % 知り尽くしている、マネージャー 兼 付き人のような レイノルズの姉役 レスリー・マンヴィルにも 真実味があって、とても良かったです。

かなり不可解に思えたのは、レイノルズが アルマ ( ヴィッキー・クリープス ) を マヌカン or ミューズ以上の存在として 身辺に置いたコト。アルマのプロポーションは彼にとって完璧ですが、それ以外の点では 多分に 神経に障る存在。それが そのまゝ展開していくので、僕は この物語に しっくりと融け込むコトができませんでした。

しかし、オートクチュールのショーの舞台裏など、まるでドキュメンタリーを観ているかのよう。有名デザイナーを描いた劇映画の中には「 あんなコト、ショーの楽屋では ありえない。もしも したら、とんでもないコトになる可能性が大なので、絶対に 誰も しない 」というようなシーンを観るコトが よくあるのですが、本作には それが ひとつもなかったコトに 感心してしまいました。
ドレスは、’50 年代のハイファッションの雰囲気を、とても うまく表現していたと思います。

 

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<<夜しか会えない二人>>の
最初で最後の恋。

ミッドナイト・サン
タイヨウのうた
アメリカ/ 92 分
5.11 より公開中/配給:パルコ

【 STORY 】 太陽の光にあたることができず 夜しか外出できないケイティ、高校のスター・アスリートだったが 怪我によって夢を諦めてしまった 水泳部のチャーリー。ある夜、彼女の歌をきっかけに 二人は出会い、急速に 情熱的な恋愛に身を投じていく――。( プレス資料より。一部省略 )

少しでも太陽光線を浴びると命に関わる難病・色素性乾皮症 ( XP ) と診断され、幼い頃から日中は屋外に出るコトが不可能だったケイティの、最初で最後の本気の恋…。これは ’06 年に YUI 主演で大ヒットしたという日本映画『 タイヨウのうた 』のリメイクです。

XP とは、日本でも 300 ~ 600名の患者がいると推定されている皮膚の難病。本作には、ケイティが夜明けの光を不用意に浴びてしまう場面があり、僕は かなりドキドキさせられました。あの程度の淡い光なら大丈夫なのでは? と思おうともしましたが、ほんの少しでも NG だったんですね…。

全篇中で特に愛らしいと感じたのは、まだ 10 歳の頃のケイティが、家の窓の下の道を通る少年 ( 幼い頃のチャーリー ) の姿に 胸をときめかす、最初のほうの場面。
難病を抱えながらも 前向きで現代的な娘に成長した 17 歳のケイティと、優しく穏やかで繊細な 17 歳の若者となったチャーリーとのコンビネーションもチャーミングでした。

ケイティ役のベラ・ソーンは 熱のある好演を観せています。たゞ、ヒアルロン酸注射を打っているのか、場面によって唇がプックリしすぎていて、それは役に不似合い or 不自然な印象を 僕は受けました。
チャーリー役を演じているのは、パトリック・シュワルツェネッガー ( アーノルド・シュワルツェネッガーの長男 ) 。父親似というよりも、昭和 30 年代に 主に東宝映画で活躍した 青春スター・山田真二を想い出させる甘いマスクのハンサム。山田真二以上にウブな表情が、日本でも女性ファンのハートを掴みそう。
ふたりとも、次は どんな役に挑戦するのか、今から楽しみです。

 

 

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ビューティ エキスパート
大高 博幸
1948年生まれ。24歳の時、日本人として初めて、パリコレでメークを担当。『美的』本誌では創刊以来の連載「今月のおすすめ:大高博幸さんが選ぶベストバイ」を執筆。
■大高博幸さんの 肌・心塾

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