齋藤薫の馨る女 EX
2017.9.17

性格が顔立ちを作るという、 これだけの根拠【齋藤 薫さん連載 vol.66】

顔の造作が美人でも、いつも不平不満を言ってる人は、顔そのものがむくんでいたり、ゆがんでいたり……と幸せそうには見えません。一方、笑顔の絶えない人、いわゆる“笑顔”顔の人は、周りの人をも幸せにするパワーを持っています。年齢を重ねれば重ねるほど、その差は歴然。いつまでもキレイでいたいなら、あなたはどちらの生き方を選びますか?

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負の感情を持って生きている人は、
顔立ちそのものがむくんだ印象を放っていく。
たとえどんな美人でも……。

生き方が顔に出る……そう言っても、ピンと来ていない人が多いのかもしれない。でも、明らかに性格は顔に出る。日常生活において、自分を支配している感情が、長い間に顔立ちを変えていることをちゃんと知っておいてほしいのだ。
昔から、物語における美人の描き方ははっきり二分されている。美人は、ピュアで素直で優しい心の持ち主か、逆に、わがままで意地悪で傲慢な心の持ち主か、必ずどちらかに描かれてきた。世の中は、美人を両極に位置付けたいのだ。いったいどちらが本当だろう。少なくとも今、〝美人は心も美しい〟という方へ一気に傾いてきたのは間違いないが。以前は確かに、美しいと世の中がチヤホヤするから、それにどっかりとアグラかき、すべてが自分の思い通りになると勘違いをする美人が少なくなかった。でも時代は変わり、女性が社会進出を果たすにつれて世の中の道理と言うものがわかっていき、社会人として進化、美人が偉いと言う単純な思い違いを正すようになったと思う。
いやもちろん美人もいろいろ。世の中に不満を持っていれば、いくら美しくても負の感情だけを持って生きるようになる。その結果、せっかくの美しさが負の感情によって次第に壊されて行くとしたらどうだろう。だから厳密に言うならば、美人ほど心の向きによって運命が二分され、明暗を分けることになるからこそ、物語も美人の運命を2つに書き分けたのではなかったか。
じゃあ、負の感情を多く持っていると、人はどんな顔立ちに向かって行ってしまうのだろう。気付いていないかもしれないけど、キホン負の感情で生きている人の顔は、何となくだけれど、ある種むくんだような印象を放ってしまう。理由は簡単。表情がいつもこわばっているから、顔立ちの新陳代謝がひどく鈍っているせいなのだ。
つまりこれは、精神論ではない。考えてもみてほしい。体だって動かさなければ、血行もリンパの流れも滞り、代謝がどんどん鈍っていって、いらない肉が付いてしまう。それも体と違って、顔は複雑な筋肉の集合体。だから、全体に肉が付くのではなくて、 ある種不均一に肉が付いていく。だからこそむくんだような印象を放ってしまうのだ。
逆に言えば、顔における運動でとりわけ重要なのが笑顔。笑顔ほど大きく筋肉を動かす表情は他にない。だから笑わない女は、明らかに顔の運動不足。そして困ったことに、笑わないともっともっと笑えなくなる。運動不足の体は、余計に動くのが辛くなったり、いざと言う時に
体が動かなかったり、運動不足による悪循環は否めないが、顔の運動不足も全く同じ。笑いを忘れた筋肉は、いざ笑おうとしても動かない。たとえプラスの感情が高まっても、顔がこわばったまま。だから面倒になって、たとえ感情が動いても笑わなくなる。笑顔を省いて生きてし
まうのだ。だからもっと運動不足になり、顔はもっとむくんでくる。
ましてや、不平不満は明らかに筋肉を歪ませる。いわゆる仏頂面になるのも感情が顔立ちを作ることの1つの証。その歪んだこわばりが、どんどん代謝を悪くして要らない肉を付けてしまうのだ。不均一な肉付き、これは太っているのとは違う、不平不満が作り出す肉なのだ。
あえて誰とは言わないが、最近は不必要に怒る女の動向が話題。反面教師とするにはあまりにも過激だけれど、怒ることが顔立ちにどんな影響を与えるのか、そこだけはしかと見て欲しい。心も美しい美人の物語を思い出しながら。

法令線が似合う人ほど美しいと言う、
エイジングケアにおける新発見。
だからむしろ法令線の似合う顔になろう

女はみんな、法令線を忌み嫌っている。いつの間にか、エイジングの象徴になっているのだから当然と言えば当然。「法令線が目立たなくなる」は、まさにエイジングケアのキラーワードなのだ。
でも、その法令線自体が美しい人っているもの。実際そういう人を、私は何人か知っている。もしそこに法令線がなかったら逆に不自然、深く長い法令線が刻 まれているからこそ、魅惑的な顔立ちになっている人って本当にいるものなのだ。で、その人たちに共通するのは、存在を思い出す時、ほぼ100%笑顔しか思い浮かばないような、いわゆる〝笑顔〟顔の人。
うっかり忘れがちだけれど、法令線はずばり〝笑顔の線〟である。笑顔を作れば100%できるシワ。だからその人たちは、いつもいつも笑顔で生きていることの証として、法令線が深く長いのだ。しかも不思議なことに、そういう美しい法令線は人を老けて見せない。
そこで改めて気付いたのは、法令線が似合う人ほど、じつは美人であるという事実。例えば、オードリー・ヘプバーンの顔を思い出して欲しい。あの人ほど若い頃のポートレートが今も普通に出回っている人はいないが、いつも目にしている顔の多くは笑顔である。歯を見せて笑っていなくても、必ず大きく口角が上に上がっている。本人は大きな口をコンプレックスに思っていたと言うけれど、この人は大きな瞳もさることながら、口元の華やかさという人の心をとらえる個性で、美人の定義を変えたのは間違いないのだ。まさに口角の上がった法令線のあるこの顔が、20世紀から今に至るまで憧れの顔であり続けているのだから。
だからオードリー・ヘプバーンが歳を重ねた時、当然のように人一倍深く長い法令線が刻まれていた。でもそれがなんとも自然で、美しかった。かくして、年齢を重ねてもなお美しい人の顔には必ずこの深く長い法令線があるはずなのだ。それが美しく歳をとったことの証拠なの
だから。
「シワも美しい」という言い方があるけれど、もちろんシワそれ自体が美しいわけはなく、あくまでも誰のシワか? による。美しく見えるのは、笑顔に付随するシワだけで、それ以外はやっぱり美しくない。もっと言えば、法令線以外のシワはやっぱりなくてもいい気がする。と
ても皮肉なことだけれど、法令線が1番嫌われているのに、実は人の顔を美しく見せる唯一のシワも法令線なのである。
もちろん、今のこの人たちに法令線があるということでは全く無いけれど、新垣結衣とか綾瀬はるかとか、まず笑顔が思い出される〝顔〟顔の美人は、みな法令線がよく似合うはずで、そういう目で、改めて法令線を見つめ直して欲しいのだ。
いわゆるプチ整形で、法令線そのものを目立たなくする施術が、とても不自然な顔立ちを作ってしまう事実に気が付いていた人は少なくないはず。そのことと、法令線の似合う顔が美しさの1つの証だったことは無関係ではない気がする。むしろ、法令線が美しい顔を作りだす……これは、 人間の顔の原則にまつわる新しいテーマなのかもしれない。
法令線が気になってきたらこうして欲しい。その法令線が自然に美しく見える表情をいつも意識してみること。つまりほんの少し口角を上げるだけで、法令線がむしろ美しいことに気付くはずなのだ。そういう表情をし続けることが、イコール〝笑顔〟顔を作ることも。またそれが、美しく歳を重ねる決定的な決め手であることも。

美容ジャーナリスト/エッセイスト
齋藤薫
女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザー、NPO法人日本ホリスティックビューティ協会理事など幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)他、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)、『The コンプレッ クス 幸せもキレイも欲しい21人の女』(中公文庫)など多数。

美的10月号掲載
文/齋藤 薫 イラスト/緒方 環 デザイン/最上真千子

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